道迷いの繰り言 その続き

旧 道迷いの繰り言 移行作業のみ実施

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反知性の立場はある架空の、まったく抽象的な敵意にもとづいている。知性は感情と対峙させられる。知性が温かい情緒とはどこか相容れないという理由からである。知性は人格と対峙させられる。知性はたんなる利発さのことであり、簡単に狡猾さや魔性に変わる、と広く信じられているからである。知性は実用性と対峙させられる。理論は実用と反対のものだと考えられ、「純粋に」理論的な精神の持ち主はひどく軽蔑されるからである。知性は民主主義と対峙させられる。それが平等主義を無視する一種の差別と感じられるからである。こうした敵意の妥当性がいったん認められると、知性を、ひいては知識人を弁護する立場は失われる。だれがわざわざ、情緒の温かみ、堅固な人格、実践能力、民主的感情を犠牲にする危険を冒してまで、せいぜい単に利口なだけ、最悪の場合には危険ですらあるタイプの人間に敬意を払うだろうか。


リチャード・ホーフスタッター 『アメリカの反知性主義


愛国の作法 (朝日新書)

愛国の作法 (朝日新書)

より孫引き。