道迷いの繰り言 その続き

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 ロス疑惑

唐突な逮捕に警察もマスコミも巡回先も私もびっくり.以前に,米国の法では同一の事件に対して二重に裁かれることは許されないという話を聞いたことがあるのだけど,日本の当局による裁判はこれに当てはまらないのだろうか?

少し調べてみると,これは米国憲法修正第5条に依るものらしい.

米国大使館HPより

修正第5条は、被告人が二重の危険(同一の犯罪で同一機関から2度にわたって裁かれる)にさらされ、また犯罪事件において、自己に不利な証言を求められることから守っている。最も大切なことは、それは権利章典中とりわけ重要な言葉である“正当な法の手続き”という被告人の権利も守っていることで、特に20世紀においては、裁判所によって被告人に広範な保護と権利を付与しているものであると解された。


内閣府HPより

連邦憲法第5修正
何人も、同一犯罪行為を理由に生命又は身体を二度危険にさらされることはない。



二重の危険条項は、同じ違反に対する無罪判決後の二度目の訴追、有罪判決後の二度目の訴追、および同一の違
反に対する複数の刑事処罰を禁じている。
ある処罰が刑事か民事かは、少なくとも第一次的には、法律の解釈の問題である。裁判所は、まず立法者が、明
示的であれ黙示的であれ、民事と刑事のどちらのラベルを選んだかを検討しなくてはならない。
立法者がcivil penalty を設定するとの意図を示していた場合には、裁判所はさらに法律上の制度が目的もしく
は効果において著しく処罰的(punitive)であって、民事の是正措置(civil remedy:救済)として意図したものが刑
事処罰(criminal penalty)に転化していないかどうかを判断する。
上記の判断を行う上では、以下の要因が有用な手がかりになる。
1 そのSanction が積極的禁止(affirmative disability)もしくは制限(restraint)に関するものかどうか。
2 そのSanction が歴史的に処罰とみなされてきたかどうか。
3 そのSanction が故意(scienter)の認定にのみ基づいて課されるかどうか。
4 そのSanction の実施が伝統的な処罰の目的である応報(retribution)と抑止(deterrence)を促進するかどうか。
5 そのSanction が適用される行為が既に犯罪とされているかどうか。
6 そのSanction に合理的に関連する代替的な目的が指定しうるかどうか。
7 そのSanction が想定される代替的な目的に照らして過剰かどうか。
なお、これらの要因は法律の文面に関して考慮されるべきであり、また、最も明解な証拠のみ(only the clearest
proof)が民事の是正措置(civil remedy)として立法者が意図したものを刑事処罰に転化させる。
抑止目的の存在だけで当該sanction を刑事とみなすには不十分である。抑止は刑事目的にも民事目的にも資する。


…よく分からない.今回の例では日本の裁判所判決を有効な判決として認めていないから逮捕したようにも見えるが,断言は出来ない.誰か詳しい人が解説してくれないかなぁ.

2/27追記

 どうやらこの件は二重処罰ではなく,一事不再理の原則を考慮すべきだったようだ.


一事不再理: wikipedia


wikipediaの記述によれば少なくとも日本では,外国で受けた判決は一事不再理の適用外らしい.米国でも同様の運用がなされているということか.そうなると米国で犯罪を犯して日本で逮捕された場合,二重に裁判を受ける恐れがあるわけで,微妙に納得できないものはある.しかし,他国の司法判断を安易に自国のそれに優先させるのも国家主権上問題があるようなので難しいところ.


以下の対話も参照.…というかここで本件の問題点がやっと理解できたわけなのだが.

Apes!Not Monkeys!掲示板 380番〜